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スポーツドクターコラム

No.62「子供にも増えてきた足の障害・外反母趾」

2008/10/10

外反母趾



外反母趾とは、靴などの履物によってつま先部分が締めつけられ、足の親指が変形した障害のことを言います。一般的には親指が人差し指側に曲がる障害だと思われがちですが、正確には中足骨が外側に開き、親指の付け根が張り出すことで変形を生じています。この突出した部分にたこができたり水がたまったりすると、歩くだけで痛みを感じることもあるでしょう。

スポーツ選手の場合は患部をかばってトレーニングを続けることで、中足骨を疲労骨折するなど他の障害を引き起こす可能性もあるため、注意しなければなりません。

これまで外反母趾は、つま先が細いハイヒールなどを履く女性に多い障害とされてきました。しかし近年は、子供の足が変形するケースも増えています。その主な原因としては、昔に比べて裸足で遊ぶ機会が少なくなり、靴を履く時間が長くなってきたことが挙げられるでしょう。固い靴で足を保護すると、土踏まずのアーチを保つ足底腱膜が退化し、足の内側に力がかかって障害を招いてしまうのです。すなわち扁平足になると、外反母趾を生じやすいと言えます。

症状が現れたときの治療や予防としては、まずインソール(靴の中敷き)の装用が考えられます。土踏まずのアーチをしっかりと持ち上げて体重を支え、親指にかかる負担を軽減させましょう。できれば子供の頃は裸足で歩く時間を増やし、足底腱膜を鍛えるように心がけたいところです。

また、靴選びも重要なポイントになります。足指の形は、親指が一番長いエジプト型、人差し指が親指より長いギリシャ型、指がほぼ同じ長さのスクエア型と、大きく分けて3種類ありますが、それに対し多くの靴は、一様につま先が少し細くなっています。大切なのは、自分の足の形にあった靴を選ぶことです。理想はオーダーメードの靴を履くことですが、それが難しくても今はオブリーク型と呼ばれるつま先が丸いタイプの既製品なども販売されています。もちろんシューフィッターのいる店で、足の形に合わせて靴を直してもらうのも1つの方法でしょう。

成長期の子供に足の変形がみられ始めたときは、ナイトスプリントも有効です。夜、寝ているときに関節を広げながら親指を適正な位置で固定し、治癒を図ります。成長期を終えて骨の形が完成されてしまうとなかなか元には戻らないため、できるだけ早い段階で治療を開始しましょう。

ただ、症状が悪化してしまった場合でも諦めることはありません。特にスポーツ復帰を希望される方は、手術という選択も考えられます。最近では、中足骨の捻りをまっすぐに戻すような新しい術法も開発されてきました。まずは専門医を受診して、相談してみましょう。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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