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スポーツドクターコラム
No.23「手のスポーツ障害で最も多い突き指」
2005/08/10
突き指
ボールが当たったり転んで手をつくなどして、スポーツの場面で指を怪我することは多々ありますが、その怪我の種類は実に様々なものがあります。
まず挙げられるのは、爪の下に血が溜まる爪甲下血腫です。
この症状が見られたときは、爪に穴をあけて溜まった血を抜き、痛みを和らげるようにしましょう。骨折の疑いもありますから、まずは医師の診断を受けることが大切です。
指の第1関節(DIP関節)を過屈曲してしまうと、その関節を伸ばしにくくなることがあります。この症状を槌指と言い、骨が折れたり伸筋腱が切れていることが考えられます。
逆に指が反れて関節(PIP関節)が過伸展してしまうと掌側板を損傷し、重症の場合には剥離骨折を伴っていることもあるかもしれません。
また指が横方向に不安定な場合は、第2関節の側副靱帯を損傷していることが考えられます。バスケットボールやバレーボールをしているときによく発生しますが、放置しておくと他の障害を引き起こす可能性もあります。
第2関節は脱臼するケースもしばしばみられます。脱臼を整復することはそれほど困難ではありませんが、時間が経過してからでは正常な状態に戻りにくくなってしまいますから、早期治療を受けるようにしましょう。
指の骨折でよくみられるのは、基節骨(第2関節の下にある掌に近い方の骨)骨折です。基節骨の周りには筋がたくさん集まっており、複雑な仕組みになっています。正確な整復と保持をしなければ、指が短くなったり変形したりするなどして、機能障害を起こすこともあるため注意が必要です。
手の甲の部分にあたる中手骨では、パンチ動作による骨折がよくみられます。中でもパンチが真っ直ぐに入らなかったときに負傷するケースが多いのが第4、5番目の中手骨骨折(boxer's fracture)です。反対にボクシングや空手でパンチが真っ直ぐに入った場合は、第2、3中手骨を骨折することが多くなります。この中手骨骨折は拳が変形したままくっついてしまうこともあるため、気をつけなければいけません。
また手首に近い親指の付け根の部分の第1中手骨の内側を骨折した場合(Bennet骨折)は、手術に踏み切ることが多くなります。この部分は正しく整復しておかなければ、親指ばかりでなく手首を動かすことも難しくなってしまうからです。
どのスポーツにおいても指を痛めてしまうと、その後のプレーに重大な影響を及ぼします。どんなケースでも、まず早めに受診することを心掛けましょう。
スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司がスポーツ医療、スポーツ障害の症状、治療について分りやすく解説します。