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スポーツドクターコラム
No.6「肉離れ・コムラ返りは食生活から起こる?」
2004/04/10
肉離れ
私が最も長くかかわっているサッカーからとりあげます。
やはりサッカー選手なら誰でも一度は経験したことのある「コムラ返り」についてご紹介します。
「足が攣る」と俗に言うコムラ返りは、ふくらはぎの筋肉が痙攣を起こすことです。プロやトップレベルのアマチュアだけでなく、少年や一般のプレイヤーにもよく起こります。ひどい場合は肉離れにもつながりますので、決して甘く見てはいけません。
実際によく足が攣る選手というは決まっているようです。
昔はよく足が攣る選手は「トレーニングが不足しているから攣るんだ」と怒られたものです。しかしよく攣る原因は、果たして筋肉だけなのでしょうか。
私はコムラ返りの原因は、筋力よりむしろ、筋肉を有効に働かせる身体の方にあると考えています。
足が攣りやすい選手には、このような傾向があると思われます。
(1) 関節や筋肉に柔軟性のない選手
(2) 連勝や試合の前後にストレッチを十分にしない選手
(3) 連勝や試合前後にきちんと水分補給をしない選手
(4) 食生活のバランスが悪い選手
(1)から(3)が毎日のトレーニングで注意すれば十分予防できます。むしろ私が強調したいのは(4)です。
現代は欧米風の食生活が普及していますが、高カロリー高脂肪のため結果として筋肉が硬くなりがちです。また炭酸飲料などによる糖分の摂り過ぎや、朝食抜き、あるいは食事を袋菓子などのジャンクフードで済ませたりといった偏った食生活も原因となります。
筋肉は使われることにより乳酸が溜まります。食生活が乱れると電解質のバランスが崩れ、その結果乳酸の排出が悪くなって、疲労が回復せず痙攣につながるのです。
コムラ返り、肉離れは現代の子供に非常に増えました。昔と比べて子供達の体格値は上がっていますが体力値は逆に下がっており、特に柔軟性に欠けている傾向があります。文明の発達や食生活の欧米化も影響しているのかも知れません。 筋肉の疲労を和らげ、エネルギーを蓄え、身体に柔軟性を持たせるのにおすすめなのが、朝食時にオレンジジュースです。オレンジに含まれるクエン酸が身体に柔軟性を持たせ、筋肉にエネルギーの源であるグリコーゲンを蓄えやすくして、疲労を和らげます。
ホテルの朝食バイキングなどでもよくオレンジジュースが用意されていますが、ちゃんとした意味があるようです。オレンジがなければ果物なら何でも良いのですが、栄養素から考えて柑橘系がベストでしょう。 市販されているサプリメントももちろん効果がありますが、まずは日常も食事でビタミンやカルシウムなどスポーツに必要な栄養素を摂ることを意識したいものです。
スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司がスポーツ医療、スポーツ障害の症状、治療について分りやすく解説します。