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スポーツドクターコラム

No.9「ヒザが曲がりにくいと感じたら半月板に注意!」

2004/05/01

半月板



半月板は、大腿骨と脛骨をつなぐ左右膝関節の外側と内側に1枚ずつあり、膝にかかる体重の衝撃を和らげるクッションの働きをします。半月というよりはやや三日月に近い形をしています。 この半月板が、サッカーをはじめ野球、バスケット、バレーなどでジャンプやターンを繰り返し続けるうちに、負荷がかかって亀裂が生じたり、完全に断裂してしまうのが半月板損傷です。

スポーツでは膝を内側にひねる動作が多く負荷は脚の外側に偏ります。よってサッカーの場合の半月板損傷はほとんどが膝の外側というデータがでています。 主な症状は、膝の痛みの他、引っ掛かり感、曲がりにくくなるロッキング、さらに関節が腫れて膝に水が溜まるなどがあります。診断する際には引っ掛かり感など膝関節の動きを診て、MRIでチェックすればほとんど発見できます。 小さい損傷なら手術をしなくても、リハビリと注射と薬で治るケースがほとんどです。よって膝に少しでも違和感を感じたら、MRIなどで早期発見を目指した方がすぐに治す事ができます。完全に断裂するなど傷めた箇所が大きい場合には、痛みも当然激しくなります。何度も傷めると半月板の周囲にある軟骨の損傷にもつながりなかなか完治しにくくなるため、切除などの手術が必要です。 手術は現在では関節鏡(ファイバースコープ)を用いて、モニターを見ながら遠隔操作で行っています。多くの場合は5~7ミリ程度の傷が2、3箇所という程度なので、早期に復帰できます。 断裂など大きな損傷の場合は、関節や血管に近ければ、縫合すれば発症前と同等のクッション性を保つことが可能です。ただ大体は関節や血管から遠い箇所を損傷している場合が多く、この場合は部分切除を行います。切除する半月板を極力少なくして残すよう、計画的に手術を行うことが大切です。 

半月板は通常の場合、成長に従って円形から半月、そして三日月へと形を変えていきます。しかし成長しても半月板の形が円形のまま変わらないのが「円板状半月板」です。特に日本人に多いと言われ、通常の三日月板の半月板に比べて損傷が起こりやすくなります。 プレー中に膝に引っ掛かり感などの違和感があれば、「円板状半月板」の可能性があるので、場合によっては半月板の不要な部分を切除して三日月状に直す手術「半月板形成術」を勧めています。気付かずに放置しておくと、選手として絶頂期を迎える20代以降に断裂などの大きな損傷が起きる事が十分に考えられるからです。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。


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