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【蔵本達也のドイツ社会人留学リポート】Vol.22 ドイツの女子サッカーに関して
スタッフブログ2024/07/26
皆さんこんにちは。ドイツでは夏がなかなか姿を現しません。7月17日現在も気温は21℃です。時々30℃前後になる日もありますが、最高気温は20℃前後が多い印象です。そのため、30℃前後の日は半袖、20℃前後の日はジャケットと衣替えができない状態です。気温の差が激しいため、体調を崩す人も増えています。体調管理や水分補給を忘れずに頑張っていこうと思います。
そしてドイツは先日、EUROカップ2024が幕を閉じました。結果的にスペインが優勝し、ドイツではとても盛り上がりました。平日・休日関係なく、どのスタジアムでも満員で、またスタジアムだけでなく、スポーツバーやパブリックビューなども多くのサッカーファンが集結していました。仕事よりもサッカー優先!この光景にヨーロッパはサッカーに情熱的な人が多いなと感じました。
さて今回はドイツで活躍する日本人女子サッカー選手のことについて紹介していきたいと思います。男子サッカーばかりに注目が集まりますが、女子サッカーもドイツでは盛んです。最近では女子のサッカー選手留学も増えてきています。今回は私がサポートしている女子サッカー選手についてと、ドイツ女子サッカーのリアルな現状をお聞きしましたので、そのことについて書いていきたいと思います。
まず初めに彼女と出会ったのは、5月の頃で「ハムストリングスの肉離れをして、なかなか良くならないから診てほしい。」とInstagramのDMにてメッセージを貰ったのが始まりでした。初見の時は受傷後1.5ヶ月を経過しており、日常生活では問題なし。しかしランニングをすると痛みが出ている状態でした。受傷後はチームのフィジオ(理学療法士)に診てもらったり、日本人のトレーナーの方にも診てもらっていたみたいですが、今までどんなことをしてもらったか?聞いてみたところ、痛いところのマッサージや超音波治療だけで、ハムストリングスの機能向上のためのエクササイズはしたことがないと言っていたのに驚きました。その為初見の際にハムストリングスの萎縮が顕著で、かなり弱化していました。これだと走って痛いのは当たり前だなと感じ、このままプレーしていると腰や膝にも負担がかかりそうだなという印象でした。おそらく、受傷後の対応や処置、検査や治療、復帰目安までの過程のプロトコルが明確ではなかったのだと感じました。私は日本の時に口すっぱく言われていたことがあります。選手を見るにあたって責任が生じてくると。その為、いい加減な知識や技術で対応してはいけないと何度も言われてきました。選手にとって試合に出られなければ解雇される可能性もあります。サッカーができるか・できないか、どのくらいのタイミングで復帰できるか、どのくらいの部分練習が可能か、時には判断しないといけませんし、いい加減な返答は選手の選手生命を短くする可能性があります。その為、わからないことは調べる、人に聞くを徹底し、またテーピング1本の走行に関してもこだわりを持ったり、治療に関してもわかりやすく説明するなどこだわりを持って、100%の対応を常に心がけています。学生の時の実習でよく何でこの評価をしたいの?痛みの組織は?原因は何?この治療にしたのは何で?と頭が痛くなる程言い続けられたのを思い出します。今思うととても重要な事だったなと感じます。もちろん私は、まだまだ学び続けないといけないと思っていますが、選手には今できる最大限を提供しています。今後、トレーナー活動をしたい人やこれから目指す学生さんに少しでも参考になり、志を高く持ってもらえると嬉しいです。また今後海外でトレーナーとして活動したい人にも、何か良いきっかけになると嬉しいです。
話はそれましたが、今回の選手の紹介を簡単にしていきたいと思います。昨シーズンまでは3部のチームに在籍して活躍していました。今シーズンからはステップアップのために移籍を考えています。怪我の影響もあり、なかなかチームが確定していませんが現在も探している状態です。選手の経歴は下記のとおりです。
氏名:小川 輝羅々 選手
ポジション:FW
経歴:(徳島県)上八万SC(小学生)
→プルミエール徳島SC(中学生)
→徳島県立鳴門渦潮高校(高校生)
→ドイツ
選抜歴:U-12 徳島県トレセン(男女混合)
高校1年・3年→全日本女子サッカー選手権大会出場
ドイツの女子サッカー事情について、選手へリアルな質問を10個したので下記に記載します。今後女子の選手でドイツに挑戦しようと考えている人は参考になると思います。
Q1.なぜドイツに挑戦しようと思いましたか?
A.高校卒業時に日本国内に進学予定でしたがケガで手術とリハビリをしなければならなかったので進学を辞めました。ずっと海外でプレーしたいと思っていたので足が完治したタイミングでドイツに来ました。
Q2.実際にドイツサッカーを体感してどうですか?
A.高い、速い強い選手が多いので、シンプルですけど日本と大きい違いだと感じました。攻撃ではリスクを負わないシンプルなプレーが多く、守備では常にボールを奪取する気持ちや、球際の激しさは日本との違いだと思います。自分の特徴は局面を打開できるアイデア、テクニック、クオリティ、インテリジェンスなので、その部分では戦えたと思います。守備の仕方が日本と違うのでそこの部分の戦術理解は、言語を含めて難しいと感じました。
Q3.ドイツのサッカーの環境はどうですか?
A.スタジアム、人工芝のグラウンド、クラブハウス、ファン、サポーターの熱い応援など環境は規模が大きいと感じます。そのためチーム運営によりますが、サッカーに集中できる境環が整っていると思います。ドイツにはどのリーグでも試合の結果や個人の成績表がみれるアプリがあります。
Q4.ドイツのサッカーの待遇はどうですか?
A.良いプレーや結果で信頼されるし、選手としての扱いや待遇も変わると思います。良くも悪くも自分次第で評価されます。金銭面なども契約条件の中には、家賃補助や車支給、固定給、勝利給、ゴール給などもあります。
Q5.ドイツのリーグについて教えてください
A.日本とドイツのレベルを比較するのは、やってるサッカーが違いすぎるので難しいです。どちらも違った良さがあると思います。しかしドイツのリーグの方が各国の代表選手が多いので世界的にみるとドイツのリーグの方が上なのかなと思います。基本的に2部からブンデスリーガと呼ばれています。
Q6.昨シーズンまで在籍していたチームについて教えてください
A.チームのみんなコミュニケーションをとろうとしてくれたり、フレンドリーで優しい人が多いです。
Q7.ドイツのサッカーの練習や試合について?
A.練習頻度も時間も日本の時より少ないですが強度は高いです。試合になるとみんな戦う気持ちを全面に出してプレーします。良い意味で練習や練習試合とは違う雰囲気を感じます。
Q8.海外で困ることはありますか?
A.1番困るのは時間にルーズな所です。電車が遅れるのはあたり前なこととか。
あとは言語の違いです。コミュニケーションだけでなく、サッカーの理解度にも繋がるので。
Q9.今後の目標を教えてください
A.ブンデスリーグでプレーすることです。そのためにまずはゴールやアンスト、目に見える数字で結果を残したいです。
Q10.今後海外挑戦を考えている選手にアドバイスはありますか?
A.私はドイツ語も英語も分からないままドイツに来て困ったので、日本にいる時から少しでも言語を学んでおくと生活やサッカーにおいてもストレスが減ってきます。
今後の活躍に期待しています。常に良い状態でサッカーに取り組めるように、これからもサポートをしていきます。今後ドイツにきてサッカー選手として活躍したいと思う選手は、まずは言語の部分から少しでも始めておくと良いかもしれません。