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ストレングス&コンディショニングコラム

第二期 vol.5「動的・静的ストレッチ”正しいストレッチでパフォーマンスを最大限に発揮する」

2012/04/26

正しいストレッチ



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 ストレッチは動的ストレッチと静的ストレッチの2つに大別することができる。 
 
 動的ストレッチは体を起こし、競技をする状態に高めるためのストレッチだ。最初はゆっくりとした大きな動きから始め、徐々に素早く強い動きを取り入れていく。例を挙げるとカープの選手が試合前に行なうストレッチがそれだ。数人が横一列に並び、10メートル程度先に置かれたマーカーまで様々な動きを取り入れながら体を動かす。また、部活動で目にすることも多いブラジル体操も動的ストレッチの1つとして知られる。こういった準備運動は、体の神経系に働きかけることで脳から指令された動作への移行をスムーズにするのだ。
 
 反対に運動の直前には静的ストレッチを取り入れないというのが、最近の一般的な考え方だ。静的ストレッチとは、特定の筋肉を20秒程度伸ばすことを指す。その長所として「筋肉の疲労を取り除き、緊張状態を解くこと」と高橋大輔トレーナーは話す。すなわち運動の直前に静的ストレッチを行なうことは、激しく動くために仕上げられた筋肉を休ませることに繋がり、運動の直前には不向きなのだ。もちろん静的ストレッチが不要というわけではない。リラックス効果が高く、運動後の疲労を取り除く効果が期待できるからだ。
 一般的に誤解を生みやすいのは、体が柔らかい選手はケガをしにくいということだ。「伸び過ぎることで力が入らない部分まで体が開き、そこに力が加わるとケガをしやすい」と高橋トレーナーは話す。もちろん筋肉の柔軟性は競技をする上で不可欠。しかし、柔軟性に伴った筋力の強さがなければ、ケガを誘発する恐れがあるのだ。
 
 身体の柔らかさについても指標がある。1つの例として大腿部の前側であれば、うつ伏せの状態で踵が臀部につけば十分な柔らかさがあると言える。もちろん体を硬くしなければならないわけではない。高橋トレーナーは「限界まで開いたところで筋力を発揮できれば、普通の人にはできない動きができる」と付け加える。
 
 新しい環境で競技を始める選手には、いろいろなストレスが体に掛かる。正しい準備、ストレッチをすることで常に最大限のパフォーマンスを発揮できる状態を作ることが大切だ。理想のウォーミングアップは、静的ストレッチから徐々に動的ストレッチへ移行すること。2つのストレッチを上手く組み合わせて使う必要があるのだ。






ストレングスコンディショニングコラムは元男子バレーボール日本代表フィジカルコーチ 大石 博暁を始めとした、
飛翔会グループの経験豊富なスタッフが、
トレーニングについて分りやすく解説します。

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