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ストレングス&コンディショニングコラム
第二期 vol.3 トレーニング前に知っておきたい知識とすべきこと
2012/04/06
トレーニング前
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ジュニア世代のトレーニング、体を強く、大きくしたいがどのようにトレーニングを行っていいかわからないというジュニア世代は多いのではないだろうか。知識の乏しいまま行うトレーニングはケガの温床となる。ケアウイング曙の鳥越隼トレーナーと崇徳高の取り組みを紹介する。
近年、中高生などジュニア世代のトレーニングを取り巻く環境は大きく変わった。走ることによる持久力の重要性は不変だが、神経系や筋力のトレーニングも積極的に取り入れられるようになってきた。強豪校やクラブチームにはジムなどの設備だけでなく、専属のコーチがつくケースも珍しくない。鳥越隼さんはケアウイング曙に籍を置きながら広島市内の高校で指導に当たっている。その中の1つに崇徳高がある。同校での指導は今年で4年目となるが、昨年はラグビー部が全国選抜大会に推薦されるなど、効果も表れ始めた。
「生徒から受ける質問に『何をすれば足が速くなりますか?』、『何をすればパワーがつきますか?』というものが一番多い」と鳥越さんは苦笑する。当然のことながら1つの動作を行うためには複数の筋肉を動かすことが必要となる。この年代でありがちなのが、特定のトレーニングにより筋肉が肥大したことでスピードやパワーがついたと勘違いをしてしまうことだ。ジュニア世代は体がまだ成長段階のため、シニア世代に比べケガが多い。事実、鳥越さんが指導を始めた頃の崇徳高ラグビー部は、「上半身と下半身のバランスが非常に悪く体幹が弱かったため腰痛の選手が多かった」と鳥越さんは当時を振り返る。
体幹のトレーニングをする際に留意することは、表層筋だけを鍛えるのではなく、深層筋や表層筋、それらを安定・協調させ、上半身と下半身の動きとリンクしていくことだ。しっかりとした下地を作った上で、それぞれの競技、ポジションに必要な身体へ順化させていくことが大切なのだ。ポジション別のトレーニングについてラグビーを例に出すと、FWはスクラムやタックルなどコンタクトが多いため、頚部や上半身の種目を多く取り入れ、バックスは走動作やパスワークが中心なので片脚の種目を多く取り入れている。どちらも筋肉に与える負荷は同じであるが、与え方に差をつけることで理想とする身体を手に入れることを可能にする。
ジュニア年代のトレーニングに関して最も大切なことは、まずは正しい知識を持ちストレッチやウォームアップ、クールダウンなどの体のケアを欠かさないことだ。正しい方法を身に付ければ、トレーニングの効果にも期待できる。「成長が実感できれば良い循環に入る。食や睡眠にも目を配るようになり、選手の伸びしろは大きく変わってくる」。崇徳高と鳥越さんの戦いは続く。
ストレングス&コンディショニングコラムは元男子バレーボール日本代表フィジカルコーチ 大石 博暁を始めとした、
飛翔会グループの経験豊富なスタッフが、トレーニングについて分りやすく解説します。