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ストレングス&コンディショニングコラム
「背筋~スーパーマン、ダイアゴナルバック、スキャプラフライ~」 大石 博暁
2011/08/19
エクササイズ
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背筋を鍛えるトレーニングには、様々な種類があります。中でも昔からよく行われている両足を押さえて上体を起こすタイプのものは、ご存知の方も多いでしょう。
ただこのトレーニングでは、過度に上体をそらしてしまうことで、腰部にストレスが加わりますので注意が必要です。しかしながらスポーツ選手のみならず、腰椎に不安を抱えている人も含めて、背筋群の弱体化はさらなる障害を招く恐れや、スポーツにおけるパフォーマンスの低下につながることがありますので、しっかりと背筋を鍛えるようにしましょう。
背中には、首の後ろから骨盤のあたりまで続く、脊柱起立筋という長い筋肉があります。トレーニングを行うときは、この筋肉を上から下までバランスよく鍛えましょう。上体起こしのトレーニングでは、腰背部と呼ばれる脊柱起立筋の下の部分を中心に鍛えますが、もっと上の方まで全体的に強化する必要があります。
背筋のトレーニングとして、まず紹介したいのは『スーパーマン』です。うつ伏せの状態から肘、膝を曲げずに、両手と両足を同時に上げて背筋を鍛えます。このとき膝が曲がってしまう人が多いのですが、うまく背筋を使えば、しっかりと伸ばすことができるはずです。また腕を上げるときは、上背部の肩甲骨周りの筋肉を使うことになりますから、下背部はもちろん、上背部も意識しながらトレーニングしましょう。
『ダイアゴナルバック』は、左右対角の手と足を同時に上げる動作を交互に繰り返すトレーニングです。対角の手足を上げることにより、体にひねりが加わります。歩いたり走ったりなど、人間の動きの多くは、体をひねることが必要です。このトレーニングでは、体の対角となる筋の連動性を高める効果もあります。
以上、2つのトレーニングは、背筋を鍛える代表的なものと言えるでしょう。どちらも背中全体をバランスよく強化できる種目です。
『スキャプラフライ』の『スキャプラ』は、肩甲骨を意味します。背筋を緊張させた状態にしながら肩甲骨をきれいに動くようにできるのが、このトレーニングです。
人間は立つだけでも、重力に逆っているため自然に背筋を使っています。さらに競技中となれば、立った状態で背筋を使いながら、腕を振るなどの動作をすることがほとんどです。このトレーニングでは、背筋はもちろん、同時に肩甲骨への意識を持ちながら強化するようにしましょう。
動作のポイントは以下の通りです。
- 肘と肩関節を90度に保ち、うつ伏せの状態から腕を上げる。肩甲骨は中央に寄せるように意識する。
- 肘を高く上げたまま、手を前に伸ばす。親指が前で揃うように、肘をまっすぐにする。このとき、内側に入っていた肩甲骨が上に伸び、背筋全体に負荷がかかった状態になる。
- 手を伸ばした状態からもう一度、肘を90度に曲げた状態に戻す。肘を肩のライン以上引きすぎると、肩甲骨の内側の筋肉が使われにくくなるため注意する。
このトレーニングは、足が床に着いているため、鍛えられるのは主に上背部になります。1セットで、20~30回を目安に行うようにしましょう。
ストレングス&コンディショニングコラムは元男子バレーボール日本代表フィジカルコーチ 大石 博暁を始めとした、
飛翔会グループの経験豊富なスタッフが、トレーニングについて分りやすく解説します。