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お知らせ
No.44「頸部と腰部に起こる脊柱管狭窄症」
スポーツドクターコラム2007/04/10
脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭小化しているために脊髄や神経根が圧迫され、下肢の疼痛など様々な症状を呈する病態を言います。首の部分でこの障害がよくみられるのは、ラグビー、アメフト、サッカーなどです。原因はヘディングやコンタクトプレーによって、首の過伸展を何度も繰り返すことにあります。
強い衝撃を受けて脊椎管の椎間板が突出したり(ヘルニア)、損傷した靱帯を修復するために靱帯そのものが厚くなるなどして、前からも後ろからも神経根が圧迫され、手にしびれや脱力感を感じるようになるのです。重症の場合は、首から下の神経が麻痺を起こすほどの脊髄損傷に発展することもあります。
診断は、まずレントゲンやCTで脊柱管に狭窄が見られるかを調べます。椎間板や神経、靱帯などとの関係を総合的に判断するためには、MRIが最適です。ただ首を屈曲した状態では症状がみられなくても、そらすことによって狭窄が明らかになる場合があるため注意が必要です。MRIを撮るときは、通常位だけでなく伸展位でも撮るようにしましょう。
治療は一般的に、投薬やリハビリを行います。さらに以前は重症な場合、椎弓形成術で骨を切除したり、骨を切り開いてそこに骨移植して神経の通る場所を広げたこともありました。しかしこの方法では、スポーツ復帰ができないことも考えられます。ただ現在は病巣部位のみ局所的に広げるような椎弓切除術で、スポーツ復帰も可能となってきました。
腰部に関してスポーツ選手で最も多いのは、腰椎分離症が腰椎分離すべり症に発展したときです。治療は首の場合と同じように局所的な椎弓切除術を行うことで、スポーツ復帰が可能になることもあります。もちろんまずは、すべり症への重症化を防ぐために、分離症の段階で以前紹介したような治療を行うことも大切でしょう。
また加齢変化によって起こる変性脊椎すべり症がこの障害の原因となっている場合もあります。加齢で骨の形が変性してきている人が、ゴルフで長時間歩行したりジョギングで長距離を走ることによって、間欠跛行などの症状が表れるのです。特に若い頃にあまり運動をしていなかった人が中高年になってスポーツを始めた場合に、腰痛や足のしびれなどの典型的な症状を訴えることが多いようです。
さらに脊柱管の狭窄が原因で脊髄の血流が悪くなり、症状が起こる場合もあります。現在は血流改善剤の内服や点滴によって治療を行うのが一般的ですが、症状が重度の場合は手術を要することもあるため専門医を受診しましょう。
スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司がスポーツ医療、スポーツ障害の症状、治療について分りやすく解説します。