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第二期VOL26.「ウィンタースポーツで起こりやすいケガと予防」
スポーツドクターコラム2014/01/28
ウィンタースポーツ
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冬深いこの時期、ウィンタースポーツを楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。今回はスキーやスノーボードで発生しやすい外傷について紹介します。
スキー・スノーボードの外傷で『骨折』が最も多く、中でも怖いのは『複雑骨折』です。これは『ハイスピード損傷』と言われ、スキー・スノーボードは速度が出るため衝突した衝撃で『複雑骨折』を起こしやすいのです。特に速度調整ができない初心者か、実力を過信しているある程度の上級者に多いとされています。
しかし、『複雑骨折』以上に注意が必要な外傷があります。それは『脳内出血』、『脳挫傷』です。これは、ウィンタースポーツで最も多いとされる死因のひとつ。転倒時に骨折で済めば良いのですが、『脳震盪』を起こし、気付かぬうちに脳内では『脳内出血』や『脳挫傷』が進行し死に至る場合があるのです。スキーは板が長く、ハードブーツで固定されているので、転倒時に横転することがほとんど。ところがスノーボードは、板が短くソフトブーツのためバランスを崩したときに、反射的にブーツ内で足が動き自分でどうにかしようとするのです。そうすると、一瞬で板の雪面側は天を仰ぎ、頭部から地面に打ちつけられ『脳震盪』を起こすケースがあります。
では、『脳震盪』をどのようにして見分けるのかということですが、自覚症状として『意識消失/ぼんやりする/けいれん/霧の中にいる気分/健忘/何かおかしい/頭痛/集中できない/頭部圧迫感/記憶できない/頚部痛/疲労/嘔気・嘔吐/混乱/めまい/眠い/ぼやける/感情的/ふらつき/いらいらする/光に敏感/悲しい/音に敏感/不安・心配』の症状を確認します。次に記憶の有無を聞きます。『「今日、どこのスキー場にきてるの?」「今何時くらい?」「今日、誰と一緒にきてる?」「この間どこのスキー場に行ったっけ?」「先週ちゃんと滑れたっけ?」』といった質問を投げかけます。自覚症状もなく、記憶の欠乏がないとしても左の図を参照し、バランステストを行ってください。『自覚症状』『記憶』『バランス』この中のどれかひとつでも該当した場合は『脳震盪』を疑い、直ちに専門家を受診してください。自己判断で「すぐに起き上がれたから問題ない」と『脳震盪』を軽視しては危険です。先に述べたように、自宅に帰り、気づかぬうちに『脳内出血』、『脳挫傷』が進行し、誰かが気がついたときはもうすでに手遅れになっていては遅いのです。ですので、『脳震盪』を起こした場合は24時間は単独行動は避けてください。
『脳震盪』を起こしたとしても、冬の期間は短いですから、またすぐにスキー場に行きたくなるでしょう。ですが、『脳震盪』を起こした場合は医師の指示の下、段階的なプログラムを行い復帰してください。復帰までは最低でも7日間は時間が必要となります。
今、世界中で『脳震盪』に対して慎重な対応が求められていますが、それは『脳震盪』を繰り返すことで記銘力障害や集中力の低下など、社会生活に支障をきたす症状が生じる可能性があるからです。ですので、ウィンタースポーツを楽しむときはヘルメットやサポーターを着用し、ゲレンデに映えるカラフルなウェアやアイテムを身につけてください。そうすれば誰かと衝突してケガをすることは避けられます。そして、自分の力を過信し、スピードを出し過ぎないでください。一時の楽しみを優先するのではなく、しっかり安全対策をしましょう。油断は禁物です。
スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司がスポーツ医療、スポーツ障害の症状、治療について分りやすく解説します。