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「競技パフォーマンスを高めるウォーミングアップ②」 大石 博暁
ストレングス&コンディショニングコラム2011/08/23
ウォーミングアップ
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前回説明したウォーミングアップの目的に続いて、今回はその効果について説明したいと思います。
①呼吸循環器系・代謝機能への影響 血液の循環がよくなりエネルギー効率がアップします。また、最大酸素摂取量が増えるため、集中力が高まります。
②筋力・パワーへの影響 筋温が上昇することで筋肉や腱の粘性抵抗が低下し、それによって筋力が十分に発揮しやすい状態になります。
③神経筋、反応時間への影響 神経の伝達スピードや反応時間が早くなります。陸上などの記録系競技や、球技スポーツに多い相手やボールに対するリアクション動作への準備をすることができます。
④柔軟性への影響 身体が温まることで関節可動域が広がり柔軟性が高まります。また、筋肉だけでなく結合組織や筋膜も含まれます。
⑤技術及び戦術的リハーサル 実際の競技を意識しながらウォーミングアップを行うことで、戦術のリハーサルを行うことができます。また、中枢神経にも作用するため動作や感覚の確認をすることができ、スムーズに競技へ移行できます。
⑥傷害予防、コンディショニングのチェック ウォーミングアップを怠ることで、肉離れや捻挫などのスポーツ傷害が発生する恐れがあります。よって、身体が軽すぎたり重すぎたりという違和感など、自身の身体の状態を確認する習慣をつけることが傷害予防に繋がります。
⑦心理的準備、サイキングアップ 身体だけでなく気持ちを高めることも重要です。チームスポーツでは意識して皆が緊張感を徐々に高め、お互いを鼓舞することで一体感を生み出す効果があります。 各競技を始めるにあたり、万全の状態で臨むためにはウォーミングアップがいかに重要な要素であるかご理解いただけたかと思います。ウォーミングアップの目的や効果を把握し、最高のパフォーマンスを発揮できるよう身体の状態を作り上げましょう。では、これからは具体的なウォーミングアップの方法について紹介していきます。
■効果的な有酸素運動
●バーピー 《動作説明》 直立姿勢(①)からしゃがみ両手を床につける(②)。さらに両足を揃えて一気に後方に伸ばし腕立て伏せの状態になる(③)。それから両足を両手の位置に戻し(②)、立ち上がり直立姿勢に戻る(①)。この一連の動作を1セットとして、身体の強度に合わせセット数を設定し、リズムよく繰り返すよう心掛ける。 《効果・利点》 有酸素運動と言えば、まずウォーキングやジョギングが挙げられます。また、エアロバイクやトレッドミルなどの機械を使うのも効果的です。ただ、バーピーはそれらの代表的な有酸素運動と同様の効果が得られます。なおかつトレーニング施設や広い場所が確保できなくても運動することができ、さらに回数を調整することで人それぞれに合った強度で行うことができます。有酸素運動にはいろいろな方法がありますが、その中でも心肺機能を高める一つの有効な手段として、バーピーを取り入れることをお勧めします。
■ウォーク系ドリル
【1】爪先歩き・踵歩き 爪先歩きはふくらはぎに、踵歩きでは腓骨(ひこつ)筋に刺激を与えることができる。爪先の方向と膝、股関節が一直線になるように意識し、身体の軸を真っ直ぐにした状態で歩く。
【2】ハイニーウォーク 歩きながら膝を出来るだけ胸の高さまで引きつける。引きつけることにより臀部やふくらはぎの筋肉が伸び、股関節を柔らかくすることができる。
【3】脚の振り上げ 膝を伸ばしたまま前方に大きく振り上げる。振り上げた際に上体が後ろに倒れないよう真っ直ぐな状態をキープする。腿の裏にあるハムストリングのストレッチにもなる。
【4】ヒールキック 踵でリズムよくお尻を叩きながら歩く。【3】とは逆で、腿の前側にある大腿四頭筋のストレッチに効果的。膝の位置が前に出ないように注意する。
ストレングス&コンディショニングコラムは元男子バレーボール日本代表フィジカルコーチ 大石 博暁を始めとした、
飛翔会グループの経験豊富なスタッフが、トレーニングについて分りやすく解説します。