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「競技パフォーマンスを高めるウォーミングアップ⑨」 大石 博暁

 ストレングス&コンディショニングコラム

2011/08/23

ウォーミングアップ




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■リアクション(反応)動作を意識したドリル
【1】ショートダッシュ(仰向け)
《動作説明》
リラックスして仰向けになった状態から、声や笛などを鳴らしてもらい、その合図の瞬間に身体を捻り上体を起こし、仰向け状態の際の頭方向へダッシュする。走る距離は約10mが目安となる。
《ポイント》
特に球技スポーツではボールに対するリアクション動作はかなり重要となり、ウォーミングアップの一番最後にショートダッシュを取り入れることは効果的。左図では仰向け状態からのダッシュを紹介したが、立位状態から身体を180度反転させ背中方向へダッシュする方法や、うつ伏せ状態から起き上がってダッシュするなどウォーミングアップの方法はさまざま。最初の1歩目に神経を集中させることが大切となる。また、より1歩目に神経を集中させるために走る距離を3?5mに設定しても効果がある。

【2】クレイジーボール
《動作説明》
両足は肩幅よりやや広くとり、クレイジーボール(右下参照)を目の前でワンバウンドさせる。跳ね上がったボールに対して瞬時に反応してボールを掴む。
《ポイント》
相手の動きに対して自分が反応する速さを問われるスポーツ(主に対戦型の球技スポーツ)では、ウォーミングアップで集中力を高めることができるクレイジーボールは効果的と言える。また、応用編として身体を反転させてキャッチ、壁にボールを投げてキャッチ、ゴロキャッチなどがあるので、いろいろ試してみよう。

◎クレイジーボールとは… 表面がデコボコしており、バウンドする際にどのように転がったり跳ねたりするか予測ができないため、瞬間的な反応や敏捷性を養うことができる。

■着地動作のドリル
【1】180度回転からの両足着地
《動作説明》
両手を腰にあて、背筋を伸ばし深くしゃがんだ状態から両足で踏み切りジャンプ。その瞬間に身体を捻り180度回転した状態で両足で着地する。
《ポイント》
バランスを崩さず着地することが難しい場合、身体を捻ることなく両足踏み切りからの両足着地を行い、まずはバランス感覚を養う。逆に、安定したバランスで着地することができた場合、応用編として片足での着地を行う。また、片足立ちでの状態で踏み切る方法もあるが、より難易度は高い。左右それぞれの足の踏み切り、左右それぞれの足の着地の組み合わせで計4通りのやり方があるので、それぞれチャレンジしてみよう。

~ウォーミングアップまとめ~
ウォーミングアップについて9回に分けてたくさんのドリルを紹介してきましたが、スポーツ現場におけるウォーミングアップの一番の問題点は、かける時間が十分に確保できないということではないでしょうか。中高生のクラブ活動の多くは下校時間が決められているため、非常に短い時間で済ませています。よく見かける光景に、2時間の練習時間に対しウォーミングアップの時間がたったの5分という場合もあります。たった5分という時間では本練習に入るには十分な準備ができないことが容易に想像できます。
また、いきなり自分たちの行っている競技とは違う対戦型のスポーツ(サッカーやバスケットボールなど)をウォーミングアップとして行うことがあります。これは非常に危険で、十分な身体の準備ができる前に激しい運動をしてしまう危険性があります。本来ケガの予防という大きな目的がありますが、それでケガをしてしまうことは絶対にあってはならないことです。一般的な傾向として、競技レベルの高いチームや選手ほどウォーミングアップをとても重要視し、その方法も多岐にわたり特徴的なプログラムを実践している印象があります。
ウォーミングアップは競技動作に入る為に絶対に必要なエクササイズです。正しいウォーミングアップが出来ないと練習効率やトレーニング効果が半減してしまうばかりか、ケガを誘発することにもなりかねません。皆さんのウォーミングアップ後の身体の状態はどうですか。再度時間や方法論、環境など様々な問題を顧慮し、今一度ウォーミングアップを見直してみてはいかがでしょうか。






ストレングスコンディショニングコラムは元男子バレーボール日本代表フィジカルコーチ 大石 博暁を始めとした、
飛翔会グループの経験豊富なスタッフが、
トレーニングについて分りやすく解説します。

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