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№13「ウエイトトレーニングを考える ~その2:筋トレから代謝トレへ~」

 ケアウイング曙 ストレングス&コンディショニングコラム

2021/07/31

前回からウエイトトレーニングについて少し掘り下げて書いています。
前回はウエイトトレーニングの代名詞ともいえる 「筋トレ」 のお話をしました。
ウエイトを使って筋肉に刺激を入れることで、筋肉に起こる様々な変化についてみていきました。

今回は、「筋トレ」の副産物ともいえる、基礎代謝の向上について書いていきたいと思います。
まずは、基礎代謝とは覚醒状態の生命活動を維持するために必要な最低限のエネルギーのことです。
もう少し簡単に言うと、何もしなくても自然に身体で使われているエネルギーのことになります。
生命活動を維持するとは、心臓を動かし、呼吸をし、体温を維持などです。
ウエイトトレーニングをすることで、筋肉に変化が起こり、この基礎代謝が上がると言われています。

ダイエット(減量)を希望する方へのトレーニングプログラムで、ウエイトトレーニングが処方される際に、「基礎代謝を高めて太りにくい身体にしましょう!」 なんて言われますね。
これは、有酸素運動で今ある体脂肪を燃焼させて、同時にウエイトトレーニングで筋肉を増やし基礎代謝を上げ、1日の消費エネルギーを上げることで、減量した後も体重を維持しやすい状態にするという考えからです。

【基礎代謝に関係するマメ知識】
それでは、ここで基礎代謝に関係するいくつかのマメ知識をみていきましょう。
筋肉は体重の約40%を占めると言われており、これは除脂肪体重の約半分に相当します。
(※ここでの筋肉とは身体を動かす骨格筋のことで、内臓や心臓の筋肉は含まれません)
この筋肉で全基礎代謝量の約20%が行われています。
さらに詳しく見ていくと、基礎代謝率(組織1kg当たりの基礎代謝量)は、筋肉では13kcal/kg/dayとなります。
参考までに脂肪の基礎代謝率は5kcal/kg/dayで筋肉の1/2~1/3程度になります。
(脂肪も一応エネルギーを消費してくれてはいるんですね)
つまり、脂肪が減り筋肉が増えるだけでも単純に基礎代謝は上がってくるのが分かりますね。

ただ、ここからが興味深い内容になります。
ウエイトトレーニングにより1㎏筋肉が増えると(脂肪などのそのほかの要因は考えないものとして)、どれくらい基礎代謝が上がると思いますか?
単純に考えると、筋肉の基礎代謝率である13kcal/kg/dayより、13kcalとなりますよね。
しかし、様々な研究の結果から、筋肉が1㎏増えると約50calのエネルギー消費増加が期待できるといわれています。
あれれ??って思いません?

【プラスα】
ここで大切になってくるのが、プラスαの効果です。
ウエイトトレーニングにより筋肉に変化が起こると同時にもう1つ重要な変化が筋肉内で起こっています。
それは筋肉への血流量の増加です。
筋肉の量が増えることで、そこへ流れる血液の量も増加します。
血流量が増えるということは、そこへ送られる酸素の量も増えます。
そうするとその酸素を使って、さらに多くのエネルギーを燃焼させてくれるわけです。
つまり、単に筋肉の量が増えるだけでなく、より高性能な筋肉を手に入れることができるのです。

【50kcal/dayの基礎代謝上昇】
この50kcalってたいしたことではないように感じますが、実際の活動と比べてみると、へぇ~って感じがします。
たとえば、通常歩行では約20分、速歩なら15分、ジョギングなら10分弱の運動をしたことと同じになります。
意外としっかりした運動でしょ。
これだけのカロリーを何もしなくても消費してくれるのだから、「ウエイトトレーニングによって筋肉が増えることで太りにくい身体を作る」というのも納得ですよね。

【本当に大切なことは】
さて、ここまでは研究に基づいた理想的な話になります。
実際には筋肉を1㎏増やすのには2~3ヶ月かかり、それもある程度強い強度の負荷を身体にかけていく必要があります。
ウエイトトレーニングの成果を出すにはそれなりの時間と頑張ることが必要になってきます。
つまり本当に大切なのは 「継続こそ力なり」 になってきます。
そもそもトレーニングが何であれ、運動を継続することは日々の活動量を高め、太りにくい生活になりますよね。
ウエイトトレーニングは筋肉を増やすのに最も効率的な運動であるため、「太りにくい身体を作る」ための有効手段になります。
太りにくい生活にしても太りにくい身体にしても、継続なくして得られることはありません。
「筋トレ」 を継続して、太りにくい身体を作る 「代謝トレ」 を実現させましょう!

次回はウエイトトレーニングのこれまた大切な効果、「骨トレ」 について書いていきたいと思います。



健康運動指導士
CSCS
髙橋 大輔

飛翔会の整形外科クリニック


スポーツ支援活動実績