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お知らせ
No.32「成長期に起こる膝の障害 オスグッド症」
スポーツドクターコラム2006/06/10
オスグッド症
オスグッド症は、成長期の子供に起こる骨端症の1つです。膝のお皿の下にある骨(脛骨粗面)が徐々に突出し、痛みを生じる障害のことを言います。成長期の骨は靱帯に比べて弱いため、ジャンプやダッシュなど膝の伸展に負荷のかかる動作を繰り返すと、脛骨に付着した骨端軟骨が引っ張られて、炎症、及び剥離を起こしてしまうのです。症状が軽い場合は休むことで痛みは治まりますが、スポーツを始めると痛みも再発するのが特徴的です。男性では18歳程度、女性では16歳程度で成長期の骨が完全に骨化すると、この症状を生じることは少なくなります。
主な原因としては、大腿四頭筋の短縮、及び伸展能力の低下や、ストレッチ効果不足が指摘されています。柔軟性のある選手ならば、筋肉が負荷を吸収するため靱帯と骨の付着部にかかるストレスは少なくて済みますが、固い選手はストレスがそのまま骨との付着部にまでかかってしまうのです。
柔軟性の目安は、うつ伏せになった状態で膝を曲げて踵をお尻にくっつける動きをすることである程度判断できます。簡単につけばよいのですが、固い選手の場合は尻上がり現象といって、疼痛が誘発されるのを防いだり、大腿四頭筋の短縮により尻を上げる逃避現象が起こるのです。この現象が見られる選手は一般的にオスグッド症になりやすいと言われています。
治療法ですが、症状が軽い場合は、まず練習の前後にしっかりと大腿四頭筋のストレッチを行うようにしましょう。ストレッチをせず疲労を残したままにしておくと、筋肉はさらに固くなり悪化を招いてしまいます。また成長期は練習後、炎症を起こすことが度々見られるため、膝のアイシングも欠かせません。競技を行うときは、大腿四頭筋のクッション性を高めるために、キネシヨテープRなどでテーピングすることも大切です。それでも痛みが伴う場合は、特殊な治療用ベルトを用いることも効果的でしょう。3?6ヵ月はこのような治療を行いますが、それでも痛みが続く場合は、安静にすることも必要です。
以前は症状が重い場合、すぐに手術を行うこともあったようですが、現在は先に挙げた治療を続けることで症状が改善する例も多くみられます。ただ治療を行わず悪化し、脛骨粗面から剥がれて遊離した骨が痛みの原因となっている場合は、その遊離した骨片を摘出するため手術を行うこともあります。いずれにしても、早い段階に専門医で適切な診断を受け、早期治療を心掛けるようにしましょう。
スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司がスポーツ医療、スポーツ障害の症状、治療について分りやすく解説します。