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【蔵本達也のドイツ社会人留学リポート】Vol.29 理学療法士の免許書き換えまでの道のり
スタッフブログ2025/02/21
Vol29 理学療法士の免許書き換えまでの道のり
皆さんこんにちは。
まだまだ寒いドイツですが、ドイツの家は日本の家よりも断熱性が高く、冬でも室内は比較的暖かいと言われています。実際、多くの家にはセントラルヒーティングが備わっていて、寒さ対策はしっかりしているはず…なのですが、今の私の家はなぜか寒い!
私のアパートの現在の室温は約16℃。冬のドイツでこの温度は、さすがに厳しいです。特に朝起きたときや夜になると、寒さがじわじわと体に染みてきます。ドイツでは一般的に、暖房の設定温度は20〜22℃くらいが普通なので、今の状況はかなり低めです。この寒さに耐えかねて、大家さんに相談中です。ヒーターの調子が悪いのか、それとも別の問題なのか…。ドイツでは、賃貸物件の暖房管理は大家さんの責任になることが多いので、しっかり対応してもらわなければなりません。
それにしても、ドイツの家は基本的に快適なはずなのに、こういうこともあるんですね。みなさんの家はどうですか?暖かく過ごせていますか?
さて今回のテーマですが、先日、ドイツのフランクフルトに住む日本人女性の三宅さん(日本の理学療法士免許保持)から、ドイツでの理学療法士の免許書き換えが無事に完了したと連絡がありました。以前、この方の挑戦についてこのブログでもご紹介しましたが、ついにその努力が実を結びました。今回は実際に免許の書き換えを完了した方からのリアルな道のりを聞きましたので、ご紹介したいと思います。
ドイツでは日本の理学療法士の資格をそのまま使うことはできません。そのため、資格の書き換えをする必要がありますが、これがなかなか大変なプロセスです。必要書類の準備、語学試験、時間単位で必要な科目の受講、実習など、さまざまなステップをクリアしなければなりません。特に、ドイツ語やラテン語での専門用語の理解や、実技試験のプレッシャーは相当なものだったと思います。
下記、三宅さんとの話の内容をまとめてみたので紹介します。
ドイツで理学療法士として働くためには、資格の書き換え(Anerkennung)が必要です。州によって若干の違いがありますが、ここではヘッセン州での手続きをご紹介します。
「ドイツ・ヘッセン州における理学療法士資格認定(Anerkennung)手続きまとめ」
ドイツで理学療法士資格を認定(Anerkennung)する手続きは複雑に思えますが、事前準備をしっかり行えばスムーズに進められます。ここでは、ヘッセン州での手続きを中心に、必要書類や手続きの流れをまとめました。
1. 事前準備
まず、資格認定専門サイトに登録し、必要書類や手続きについて相談することが重要です。費用補助(翻訳費、ドイツ語コース費用など)の申請も可能です。
▶︎ 資格認定サポートサイト
2. 申請に必要な書類
申請書類はヘッセン州保健省の公式サイトから確認・ダウンロードできます。
▶︎ ヘッセン州保健省
以下が主な必要書類です:
① 基本書類
• 申請書(オンライン提出または郵送)
• 履歴書(ドイツ形式・Lebenslauf)
• 身分証明書(パスポート、滞在許可証のコピー)
• 住民登録証明書(Meldebescheinigung、市役所で取得)
• 出生証明書/結婚証明書(領事館発行のもの、または戸籍抄本をドイツ語訳したもの)
② 学歴・職歴証明
すべての証明書は「原本の認証コピー(beglaubigte Kopie)」と「ドイツ語訳の認証コピー」が必要です。
• 卒業証明書(Abschlusszeugnis)
• 成績証明書(科目・履修時間が明記されたもの)
• 専門試験合格証明書(国家資格の証明など)
• 就労証明書・推薦状(勤務態度・治療内容を具体的に記載すると良い)
• 語学証明書(B2レベル以上のドイツ語証明)
③ 認証コピーの取得方法
市役所で原本を提示し、コピーに認証スタンプを押してもらいます。
事前予約が必要で、1枚につき3〜4ユーロ程度の費用がかかります。
3. 手続きの流れ
1. 資格認定サイトに登録し、必要書類と費用補助を確認
2. 必要書類を準備・翻訳し、市役所で認証コピーを取得
3. ヘッセン州保健省に申請書類を提出(オンラインまたは郵送)
4. 保健省からの問い合わせに対応(書類不備の確認など)
5. 審査結果を受領
4. 適応コースか国家試験の選択
審査の結果、ドイツの理学療法士養成校と比較して履修時間が不足している場合、以下のいずれかを選択します:
1. 適応コース(Anpassungslehrgang)
2. 国家試験(Kenntnisprüfung)
① 適応コースについて
• 保健省が指定した養成校に通い、不足している科目を履修
• 私の場合は300時間(マッサージ療法、物理療法など)を受講
• Agentur für Arbeit(職業安定所)に申請すれば、受講費用・交通費などが支給される可能性あり
私の場合: 4か月間で1400ユーロ支給。3か月でコース修了。
② 国家試験について
• 筆記試験は免除される場合あり(私の場合は口頭試験と実技試験のみ)
• 2回受験可能だが、2回不合格で資格書き換え不可になるため注意
5. 最終面接(Abschlussgespräch)
適応コース修了後、学科長との最終面談があります。通常は症例評価と治療について問われますが、履修内容を中心に質問される場合もあります。
私の場合: 提出したレポートが評価され、スムーズに合格できました。
6. 資格証の取得
最終面談合格後、適応コース修了証が保健省に送付され、3週間ほどでドイツの理学療法士資格証が届きます。
7. まとめ
• 手続きは長期戦(私は2年かかりました)
• 書類の準備と認証を早めに済ませる
• 適応コースか国家試験の選択は、ドイツ語力と時間で判断
• 費用補助は必ず確認・申請する
手続きは複雑に見えますが、事前準備と情報収集を徹底すれば確実に進められます。ドイツで理学療法士として働くために、ぜひ一歩を踏み出してください!
以上
とても丁寧に書き換えについて教えてくれました。ネット等でもこんなに細かく掲載している人はいないので、今後書き換えを考えている人にとって少しでもお役に立てると幸いです。


三宅さんが通っていたFresenius Schule(学校)と授業風景

飛翔会の整形外科クリニック
