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No.43「足関節の骨棘及び余剰骨による障害」

 スポーツドクターコラム

2007/03/10

足関節



・フットボーラーズアンクル
足関節内に骨棘ができる障害の代表例に、フットボーラーズアンクルが挙げられます。これは足関節前面や内側に痛みを感じ、骨隆起が認められることもある障害です。医学的にはImpingement exostosis(衝突性骨棘)と言いますが、欧州のサッカー選手にしばしばみられたことから、このような別名で呼ばれるようになりました。競技年数が多いほど発生頻度も高くなり、程度の差こそはあっても、プロサッカー選手のほとんどが持っている職業病と言えるでしょう。

主な原因は、ジャンプやダッシュで足関節に過度の伸展運動が加わることにあります。脛骨下端と距骨が何度もぶつかって擦れるために骨軟骨損傷を起こし、増殖性の骨変化が生じて、本来ないはずの骨棘ができてしまうのです。そして、その増殖した骨が衝突して障害を起こします。

症状が重い場合は骨棘の衝突によって可動域が制限され、足首を伸展できなくなることもあります。ストレッチやアイシングなどの治療を行っても症状が改善しないときは、手術で骨棘を切除することも考えなければなりません。ただ現在は、内視鏡を使って小さい傷で治療する方法を取ることも多いようです。

またこの障害は、足関節の捻挫も原因の1つと言われています。捻挫をした選手の方が骨棘の発生率が高いことは、研究でも明らかにされています。外側の靱帯が緩んで足関節が不安定になり、内側の脛骨と距骨が衝突して骨棘ができてしまうのです。しかし捻挫をしたときに適切な初期治療を行っていれば、靱帯が緩むこともないため骨棘ができる可能性は低くなります。特に成長期の軟骨が弱い時期に損傷した選手は、しっかりと治療をしましょう。

・有痛性三角骨障害
フットボーラーズアンクルが足関節の前面に生じるのに対し、後方に余剰骨がみられるのが有痛性三角骨障害です。これもサッカー選手に多い障害と言えるでしょう。原因はインステップでボールを蹴るなど、足関節を強く屈曲する動作の繰り返しにあるとされています。骨の成長を促す骨端核が成長期を過ぎた後も残っていたり、距骨が先天的に突起のように飛び出している場合、脛骨と足の骨の間にその骨が挟み込まれてしまうのです。重度の場合は、足首の屈曲が制限されることもあります。

このような障害を予防する観点から、最近では子供達へのサッカーの指導法も変わってきました。ボールを強く遠くへ蹴ることよりも、正確性を重要視するようになってきたのもその1つです。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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