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No.59「椎間板の変性と椎体終板障害の関係」

 スポーツドクターコラム

2008/07/10

椎体終板障害



椎体終板障害は、腰の椎体と椎間板の間にある軟骨終板が傷つく障害です。ゴルフをはじめとしたスポーツでは、腰を捻るなどの動作で軟骨終板に負荷がかかるため、この障害がしばしば生じます。急性期では激しい腰痛が伴い、症状が重い場合はほとんど体を動かせなくなる人もいるでしょう。

軟骨終板を痛めて問題となるのは、脊椎の変形を生じたり、神経障害を合併する可能性がある点です。中でも、腰椎分離すべり症を引き起こすケースは非常に多くみられます。軟骨終板が損傷すると、終末動脈を通じて椎間板に血液を送っている流れが途絶え、それが椎間板の変性を助長して分離症からすべり症へ発展させてしまうのです。また終末動脈の血管が切れると、椎間板が変性して髄核が飛び出し、神経を圧迫するヘルニアを発症することもあります。

さらには、椎間板が椎体内に突出するシュモール結節にも注意しなければなりません。軟骨終板は、肘や膝などの関節の軟骨と同じ役割を果たしていると同時に、他の骨で言う成長軟骨(成長期の骨を縦に伸ばす軟骨)としての役割も兼ね備えています。そのため成長期に椎体の一部である軟骨終板を痛めると、椎体そのものにも変性が生じてしまうのです。椎間板ヘルニアを疑ってレントゲンを撮ると、本来の形で大人の骨にならなかった軟骨終板の一部が一緒に飛び出して映っていることもあります。これはかなり重篤な症状と言えるでしょう。ただ障害の原因を作るのは、腰椎が完全に大人の骨になるまでです。腰椎は他の骨と比べて成長は少し遅いのですが、軟骨終板が成長軟骨の役割を終えてからは、ほとんど問題になることはありません。

以上の点を踏まえると、椎間板の変性と軟骨終板の損傷には密接な関係があることが分かります。MRIで確認すると、スポーツ選手の約30%に椎間板の変性がみられるとされていますが、そのときは同時に軟骨終板を痛めている可能性も高いと言えるでしょう。

しかし、椎間板が変性していても必ず痛みが発生するとは限りません。普段のトレーニングで腹筋や背筋を鍛えて、椎間板にかかるストレスを軽減させることで神経への刺激を抑えられます。ただスポーツを止めて急に体重が増加すると、腰に負荷がかかり症状を訴えることもあるため、気をつけましょう。

治療としては、まず一般的な温熱療法や消炎療法などの保存療法を行って、経過を観察します。もしそれでも症状が回復しない場合は、手術の適用も考えなければなりません。脚が上がらないなど運動麻痺になってしまった場合や、膀胱や直腸が麻痺して日常生活に支障をきたしている場合は、手術を行うことをお勧めします。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。


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