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No.61「肋骨骨折の主な原因は外傷性か疲労骨折」
スポーツドクターコラム2008/09/10
肋骨骨折
肋骨骨折は、スポーツ選手によくみられる胸部の障害の1つです。主な発生原因としては、転倒や打撲などによる外傷性のものと、骨の同一部位に繰り返し小さなストレスが加わって起こる疲労骨折の2つがあります。
外傷性のタイプは、コンタクトスポーツで多々起こります。接触プレーなどによって胸部を強打し、骨折してしまうのです。例えばサッカーで競り合ったときや、野球のクロスプレーなどで負傷することもあるでしょう。
疲労骨折のタイプは、肋骨と肋骨の間を広げたり縮めたりする動作を何度も繰り返すことによって生じます。ゴルフの初心者によくみられ、利き手の反対側の第2肋骨~第9肋骨に発生することが多いようです。スポーツ活動に必要な基礎体力の欠如やスイングの基本動作の未熟、集中的な過度の打球練習などが疲労骨折の要因とされています。コースプレー中よりも、練習場で短時間に集中して練習したときの方が起きやすいのも特徴です。
また、野球もゴルフ同様に肋骨の疲労骨折が多いスポーツと言えます。打者の場合は、バットスイングの繰り返しが主な原因です。特に技術面で発展途上の高校生などが、引っ張ったり流しに行くスイングを無理に習得しようとすると、肋骨に負荷がかかり痛めてしまいます。
一方、投手の場合は、鎖骨の上にある第1肋骨を負傷してしまうケースが過去にも複数ありました。投球が手投げになっていたり、足を踏み出すポイントが一定していない選手は、注意しなければなりません。首と肩の間を何度も広げたり縮めたりする動きによって、負荷のかかりやすい投球フォームになってしまっています。発生部位が肩に近いため、肩を痛めたと勘違いしやすいのですが、肩関節には問題がなく、首を捻ると痛い場合は、この障害を疑うことができるでしょう。
診察では、患部だけでなく投球フォームをチェックすることも大切です。体幹のバランスが悪い状態で無理をして投げると故障しやすく、やはり下半身がしっかりしていなければ投球動作は安定しません。故障してしまったときは、治療とともに障害の原因となっている投球動作の改善、体幹の強化にもしっかり取り組みましょう。
治療は、痛みを引き起こしている動作を止めて安静にすることが第一です。比較的、予後は良好な障害で、手術をしなくてもほとんどの場合で自然に治癒します。およそ1ヵ月程度で、症状は落ち着いてくるでしょう。ただ安静にすると言っても、下半身の筋力トレーニングを行うことは可能です。第1肋骨を負傷した場合であれば、ランニングまでできることもあります。患部に負荷がかからない範囲で、体力が落ちないように努めましょう。
スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司がスポーツ医療、スポーツ障害の症状、治療について分りやすく解説します。