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No.64「強い固定が大事な鎖骨骨折」

 スポーツドクターコラム

2009/01/10

鎖骨骨折



鎖骨は腕と身体の骨を連結する役割があり、骨折する頻度が高い骨と言えます。鎖骨はSの字型で、断面は中央部が丸く両端部は三角形に近い形になっています。太さは外側にかけて細くなっており、丸から三角形へ移行する部分が脆弱部位であり、鎖骨骨折のほとんどはその部分が折れてしまいます。

鎖骨骨折は主にサッカーやラグビー、柔道などのコンタクトスポーツにおいて、強い衝撃を受けて発症することが一般的です。また、転倒して手や腕を強く地面に打ちつけた際に、鎖骨に急激な負荷がかかり骨折することもあります。症状としては衝撃後に激しい痛みを感じたり、外見から変形が見られます。レントゲン検査で判断できますが見た目でも症状が分かりやすいので、違和感を覚えた際には早めに受診することをお勧めします。

治療方法は一般的には保存療法で充分治すことができ、その際に重要になってくるのが年齢です。若年層には骨の成長を促進する骨端線が残っており、成長軟骨があるため自家矯正能力に非常に長けています。折れた骨が徐々に矯正され元通りに治っていくので、よほど骨折部分が離れている場合を除いて、手術の必要はありません。

一方、歳を重ねるほど骨の形成に時間はかかりますが、第三骨片を伴うような複雑骨折でない場合であれば手術をしなくても骨癒合は可能です。保存療法を行う際の固定方法でお勧めするのは、筒状の包帯の中に綿を入れ両肩に八の字で巻く包帯固定や、製品化されているクラビクルバンドです。骨折部分の安静保持ができ、さらにある程度骨折が治ったら取り外しが可能で日常生活に支障をきたすことが少ないため、肌に直接当たるギプス固定よりも良い方法と言えます。

ただ、早期復帰を必要とするスポーツ選手や、骨が互い違いになったり複雑骨折をしていた場合には手術を選択することもあります。骨折部を繋ぎ合わせ太い金属を入れ、強い固定を施すプレート固定術を行うのが最も良い方法でしょう。
固定期間は骨折の程度にもよりますが、4~6週間が目安となります。スポーツ選手は競技にできるだけ早く復帰することが求められますが、強固なプレート固定さえ施されていれば、早期に患部を動かしリハビリを開始することが可能です。治療の際に最も大切なことは、鎖骨を正確な解剖の位置に戻すことです。正確な固定を行わず、骨が元の位置に戻らなければ肩甲骨、脊髄、首、そして全身にまで悪影響を及ぼします。
 
例えば、野球選手の場合では骨の変形によって肩甲骨が前にズレてしまうと、まともに投球することができなくなります。治療の際には医師と確認を取りながら慎重にリハビリに取り組みましょう。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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