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お知らせ
No.2「チームドクターという仕事 パート2」
スポーツドクターコラム2004/03/10
チームドクター
チームドクターとして大事な仕事は、選手への体のケアやドーピングに関する指導です。サッカーの場合、監督やコーチはある程度の医学知識を指導者ライセンス取得の際に学んでいるので、その点はほかのスポーツに比べて進んでいると言えます。しかし問題は選手です。サプリメントを摂る感覚で自分で風邪薬や栄養剤などを入手する人も多い様です。しかしそれがドーピング検査で陽性反応が出る成分を含んでいると知らずに服用し続けている場合も十分考えられます。チームドクターとしては選手達にドーピングや医薬品についての正しい知識も、指導していく必要があるのです。
食事や日常生活についても、指導を行う場合もあります。(これは若い選手にたまに見られるのですが)朝食を食べずに練習に行き、普段の食事の量も細かい。これではプロの厳しい練習に耐えられませんし、上手くなれるわけがありません。そういった食生活面での指導も、チームドクターとしての仕事なのです。
Jリーグでは全選手を対象に年に1回「メディカルチェック」と「フィジカルチェック」の実施が義務づけられています。メディカルチェックは大きく分けて内科検診と整形外科検診があり、内科検診では血液検査、尿検査、心電図測定、レントゲン撮影を行います。心電図は通常のものだけでなく負荷をかけての数値も当然測定します。整形外科検診では、頭の先から足の先まで全ての箇所をレントゲン撮影し、加えて問診も行います。このメディカルチェックはユースチーム(高校生)の入団時から行っています。 フィジカルチェックでは、サッカー選手であるための適正な筋力と心拍機能をチェックし、課題や問題点があればトレーナー、監督・コーチとともに選手に伝え、克服へのアドバイスもします。 さらに定期的な会議として、毎月1回トレーナーなど現場スタッフと「メディカル会議」を行い、現在の状態や長期の予定を確認しています。
シーズン中の1週間の流れとしては、毎週土曜日に試合がある場合、月~木曜は私は当クリニックで診療を続けながら、けが人や体調不良の選手について、チームに帯同しているトレーナーから細かく報告を受けます。現場のトレーナーレベルで応急処置や検査をしてもらって上で、私は報告に伴って関連の病院に行かせる指示を出したり、場合によっては直接診ます。金曜からはチームに合流し試合終了まで帯同し、遠征先へも同行します。試合終了後もトレーナーと共に細かくケアをしていきます。最近まではキャンプにも最初から最後まで同行し、選手の体調はもちろん食事した量などもチェックしていました。 選手が自由時間になっても、チームドクターやトレーナーはまだまだ忙しいのです。
選手たちの日常会話やちょっとしたしぐさなどで、微妙な体調の変化を感じ取り対処方法を考えることも、重要な仕事です。
自由な時間はなかなかないのですが、選手たちの最高のパフォーマンスが出来るように、チームドクターやトレーナーは日夜がんばっているのです。
特に今シーズンはJ2での戦いとなり、「1年でJ1復帰」が義務付けられていました。試合数もJ1の30試合から44試合、約1.5倍に増え、選手はもちろん我々ドクターやトレーナーにとっても、忙しく特別な1年だったような気がします。
スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司がスポーツ医療、スポーツ障害の症状、治療について分りやすく解説します。