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「より高いトレーニング効果を得るために」 大石 博暁
ストレングス&コンディショニングコラム2011/08/19
トレーニング効果
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前回は、トレーニングを開始する前の準備として「自己分析」について紹介しました。その次の段階で必要とされるのが「目標設定」になります。同時に色々なトレーニングを行うことはできないため、目標と方向性を見定めてプログラムを作ることは大切です。漠然と現状より数値を高めたい、というだけでは高いトレーニング効果は望めません。具体的にいつまでに、どの部分を、どのくらいまで高めるのかを数値で明確にしておくことによって、期間内に目標まで到達できなければトレーニング法を変える、などといった評価もしやすくなります。
目標を定めた後は、その目標に即した年間計画を立てましょう。学生であれば大会などの日程を踏まえたトレーニングを組まなければなりません。例えば4~6月にかけて大会がある場合、まず1月は筋を太くし、2~3月で筋力やパワーを高め、4月以降は維持をする、といった計画を立てることができます。
このようにトレーニングの内容を時期によって変えることを『期分け』と呼びます。年間を通じて同じプログラムを続けていると、筋力の伸び方も頭打ちになりやすくなるため、期分けはとても重要です。もちろんこれはトレーニングが順調に進んだ場合の例です。怪我からの回復期や、体のバランスが崩れている選手は、強化以前の準備期間も必要になります。
オリンピックを目指す選手ならば4年周期、高校生ならば3年周期、といった長期に渡った計画も立てた方がいいでしょう。1年目は体力の基盤を構築し、最終年ではトレーニング効果を自分の競技に結びつける内容に変えることによって、効果的に競技力を向上させることができます。
具体的に日々のトレーニングを行う際に考えておきたいのは『超回復』の原理です。トレーニングを続けていくと体力レベルは開始の水準から、疲労によって次第に落ちていきます。しかしここでしっかりと休養をとれば、元の水準より高いレベルまで筋力が回復するのです。この最大値が高まったところで次のトレーニングを開始すれば、さらに力をつけることができます。
毎日同じ部位を鍛え続けているとオーバーワークになり、結果的に能力が下がってしまうこともあります。ですからトレーニングと休養のバランスはしっかりと考えておかなければなりません。
その他にも、トレーニングを始めるにあたって知っておきたい原則をまとめると、次のようになります。
- 過負荷の原則…日常で発揮しているよりも強い負荷をかけなければ、筋力は増加しない。
- 漸進性の原則…同じ負荷をかけ続けるよりも、筋力の伸びに合わせて段階的に増加させた方がトレーニング効果は高い。
- 継続性の原則…一定期間を経過するとトレーニング効果は低下するため、継続的に行わなければならない。
- 特異性の原則…トレーニング効果が得られるのは、目的に適合した部分のみである。
- 意識性の原則…トレーニング時に鍛える体の部分を意識することによって、効果は高まる。
- 個別性の原則…選手個々の能力や状態に応じたトレーニングを行わなければならない。
- 全面性の法則…上半身と下半身、右と左など、全身のバランスが取れるようなプログラムを組まなければならない。
以上のようなことを踏まえ、いよいよ次回からは具体的なトレーニングの方法を紹介していきたいと思います。
ストレングス&コンディショニングコラムは元男子バレーボール日本代表フィジカルコーチ 大石 博暁を始めとした、
飛翔会グループの経験豊富なスタッフが、トレーニングについて分りやすく解説します。