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「筋力トレーニングの効果」 大石 博暁

 ストレングス&コンディショニングコラム

2011/08/19

筋力トレーニング



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筋力トレーニングとは、体に負荷抵抗をかけることにより筋を太くし、筋量を増やし、筋力の出力を高めるトレーニングのことを言います。そのトレーニングによる効果には、様々なものが考えられます。
 
1、競技力向上 
スポーツ選手にとってまず大切なのはこの部分です。自分が行う競技特性に合わせて、必要な箇所の筋肉を鍛えたり、全身のバランスを整えるように鍛えることが、競技力向上につながります。また走ったり、物を遠くに投げたりといった身体能力を高めることも、競技を行う上でプラスになります。

2、障害予防 
トレーニングを行うことによって、一瞬の衝撃による怪我や、日々の練習での使用過多などで起こる怪我を予防することができます。例えばしばしば捻挫してしまう選手の場合は、足首周りの筋肉を鍛えて機能を高めることで、再発を防ぐことができるのです。 
ラグビーやアメフトといったコンタクトプレーの多いスポーツでは、筋肉の量を増やすことも障害の予防につながります。筋肉がコンタクト時の衝撃を緩和するクッションの役割を果たすのです。人間は歩くだけでも体重の1・2倍~1・5倍、幅跳びの踏切やバレーボールのジャンプなどでは5倍~10倍の負荷が着地時にかかります。こういった繰り返しかかる衝撃に耐えうる体をつくることも重要です。
 
3、体形を整える 
スーパーモデル、アスリート、ボディービルダーは、それぞれトレーニングを行い、体形を整えています。トレーニング方法に変えることによって、体型を変えることもできるのです。
 
4、太りにくい体を作る 
成人の1日の基礎代謝(生命維持に必要なエネルギー)は、一般の男性で約1500キロカロリー、女性で約1200キロカロリーになります。トレーニングでこの基礎代謝の数値を上げることにより、太りにくい、エネルギーを消費しやすい体を作ることも可能です。体重を1キロ増やせば、1日の基礎代謝は約50キロカロリーほどアップします。ダイエットをする場合でも、筋肉量を落とさず、体脂肪を減らすことを考えるようにしましょう。
  
5、正しい姿勢の保持 
筋肉のバランスが整っていなければ、姿勢も崩れてしまいます。アンバランスな体勢を長時間続けていると、腰痛が発生するなど様々な弊害が出てきます。例えば体幹の筋肉である腹筋や背筋が弱ってしまうと、骨盤の動きが悪くなり、腰痛を引き起こしてしまうのです。これもトレーニングで鍛えることによって改善することができます。
 
6、生活習慣病の改善  
トレーニングは、コレステロール値の改善、血糖値の調整機能の改善、食物の腸内通過時間の短縮、基礎代謝の増大といった生活習慣病の改善にも効果をもたらします。体を動かして運動不足を解消することが、予防につながるのです。
 
7、シニアライフを豊かなものにする 
以前は「高齢者がトレーニングを行っても効果は得られない」と言われた時期もありました。しかし今は、年齢に関わらずトレーニングをすることによって筋肉の肥大は起こる、というデータも数多く示されています。これまで全く運動をしていなかった人でも、トレーニングを行うことによって長く健康を維持できるのです。 

 
このようなトレーニング効果を踏まえた上で、競技者のトレーニングの目的としては、以下のようなことが考えられるでしょう。

  1. 筋力・パワーの向上…大きな力を短時間で発揮できるようにする

  2. スポーツ動作パワーの向上…競技特性に応じた動きの中でパワーを発揮できるようにする

  3. 必要筋力の獲得…競技特性を踏まえた上で、必要な筋肉量を獲得する

  4. 効率の良い動きづくり…身体の各部位が協調して動くようにすることで、効率よく力を発揮させる

  5. スポーツ動作の経済性の改善…筋肉が協調的に働くことで、無駄なエネルギーの消費を軽減させる 


こういった話は、当たり前のようにも感じますが、現場では意外に実行できていません。トレーニングに対して明確な意識を持って取り組み、さらに効果を高めるよう心掛けましょう。






ストレングスコンディショニングコラムは元男子バレーボール日本代表フィジカルコーチ 大石 博暁を始めとした、
飛翔会グループの経験豊富なスタッフが、
トレーニングについて分りやすく解説します。

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