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No.25「急に起こる腰の痛みぎっくり腰」

 スポーツドクターコラム

2005/10/10

ぎっくり腰



床から重い物を持ち上げたり何かの拍子に体をひねったりしたときに、腰に強い痛みが生じることをぎっくり腰(=急性腰痛症)と言います。後ろから蹴られたような衝撃を感じるため、『魔女の一撃』と呼ばれることもあります。日常生活だけでなく、スポーツでも野球ではバッティング、サッカーではコンタクトプレーなどで起こることも多くみられます。

ぎっくり腰の原因は様々なものが考えられますが、大きく分類すると関節、筋肉、椎間板の3つに分けることができます。中でも関節や筋肉を痛めているケースが多く、椎間板を痛めた場合は他の症状を引き起こしている可能性も高いでしょう。

ぎっくり腰は発作直後に激しい痛みを伴います。『急性』の障害であるため通常は安静にしていれば痛みも治まりますが、この痛みを早く取り除くには局所麻酔剤と消炎剤の注入が効果的です。数分で痛みがなくなり、麻酔が切れても効果は持続します。また腰椎椎間関節や仙腸関節のすき間に滑膜のひだが挟まっている場合は、そのひだを外すように関節を動かすマニピュレーションも有効です。

治療を施しても痛みが治まらないときや何度もぎっくり腰を繰り返してしまうとき、また痛みが腰に止まらず、足がしびれたり力が入らないなどの症状がみられる場合は、必ず専門医でMRIを使った検査を受けるようにしましょう。神経を痛めていることも考えられ、坐骨神経痛を併発していたり、椎間板ヘルニアになっている可能性もありますから注意が必要です。

腰痛は癖になりやすいため、予防はとても大切です。日常生活では立ったり座ったりするときに背中を丸めず、あごを出さないように心掛けましょう。眠るときは腰が反り返って負担がかからないように、仰向けやうつぶせではなく横向きで寝る方がよいでしょう。また腰周りの関節や椎間板の負担を軽くするために、それらを支えている腹筋や背筋を鍛えることも効果的です。ただ一般的に行われている腹筋や背筋(足を押さえて上体を起こしたり反らしたりするトレーニング)では、逆に腰に負担がかかってしまいます。腹筋は仰向けで両膝を立て、お尻を寄せるように力を入れながらお腹をへこませ、床を腰に押しつけることで鍛えることができます。背筋はお腹の下に枕を入れてうつぶせになり、あごを引いて上半身を持ち上げ10秒止める動作を繰り返しましょう。こうすることによって腰を痛めることなく、必要な部分だけ鍛えることができます。





スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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