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第二期vol.1 スポーツ医療とトレーニング

 スポーツドクターコラム

2012/01/23

トレーニング



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 日本ではスポーツ医療とトレーニングは分けて考えられることが多いですが、本来これらは区別するものではありません。どちらも『スポーツメディシン』と言うべき同じ分野に属するものであり、目覚ましい進化を続けています。端的に言えば、『どのようにケガを治療するか』というよりも『どのようにケガを防ぐか』という、予防医学としての発展が最大の進化と言えます。

 もちろん、最先端医療としての発展も進んでいます。例えば、かつて軟骨は再生しないと言われていましたが、ES細胞などいろんな細胞を用いて軟骨培養移植が盛んに行われるようになり、様々な治療に役立っています。また、手術では関節鏡の発明により大きく切開しなくても体内を治療できる方法が考え出され、低侵襲医療として負傷からの早期復帰を可能にしています。

 これら器質的病変は、先天的な要素などを除けば、機能的要素の悪化により引き起こされることが分かっています。例えば椎間板ヘルニアについて考えてみましょう。骨と骨の間にある椎間板というクッションが固くなって突出し、神経を圧迫する病気ですが、なぜ椎間板に問題が生じるのか。それは、一つひとつの関節を動かす多裂筋のような小さな筋肉が役割を果たしていないからです。バーベルやマシンなどで大きな筋肉を鍛えても、小さな筋肉が鍛えられていないと効果がありません。体幹トレーニングによりインナーマッスルを鍛え機能的要素を改善することで、椎間板という器質的要素の悪化を防ぐことができるのです。スポーツトレーニングも様々な部分で進化を続けていますが、医療に関わる部分での進化とは、これら機能的要素の改善に繋がるトレーニングなのです。

 改善のためには科学的な根拠に基づいたトレーニングを行うことが必要です。間違ったトレーニングにより体のバランスを崩してしまうと、パフォーマンスの向上に繋がらないばかりか、故障に繋がる原因ともなります。今では世界的に正しいトレーニングの重要性が認知されており、その最たるものがアメリカの『アスリート・パフォーマンス』でしょう。カープでは栗原健太選手や廣瀬純選手が訪れることで知られていますが、世界中のアスリートに高く評価されており、飛翔会からもトレーナーを教育プログラム受講のため派遣しています。インナーマッスル、そして体幹の強化に代表されるように、バランスを重視したトレーニングが主流となっています。

 カープは10年以上前からこの考え方を取り入れており、トレーニングに関して先進的であると言えます。『アスリート・パフォーマンス』の教育プログラムを受けたトレーナーもおり選手を指導していますが、大事なのは選手たち個人のレベルでどれだけ取り組むことができるか。トレーニングは選手の考え方により選択されるものですので強制はできませんが、全体練習でしか取り組まないようであれば効果は望めません。オフの自主トレ期間でも積極的に取り組むことができれば、パフォーマンスの向上、そしてケガをしない身体作りに繋がるでしょう。スポーツメディシンは急速な発展を続けており、アスリートにとってなくてはならないものになっているのです。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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