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第二期 vol.5「正しいスパイクの選び方」
スポーツドクターコラム2012/04/26
スパイクの選び方
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新たにスポーツを始める人にとって、最初の難題が壁一面に陳列されたスパイクからお気に入りを一足見つけることではないしょうか。プロ、アマチュアを問わず、スパイクの選び方1つでケガのリスクは減り、パフォーマンスは向上します。野球やサッカーの場合、スパイクの選択を迷わせる大きな要因は、プレーする場所によってグラウンドの表面が違うことです。土か芝に大きくは分けられると思いますが、芝にも人工芝、天然芝とありグラウンドに合わせてスパイクの選択は大きく変わってきます。選択を誤れば足首やひざ、腰などに大きな負担を掛けることになるのです。
スパイクを履く足についてもう少し詳しく話すと、足は足首にある前後左右の筋肉で釣られているマリオネットのようなものです。地面と接地する足が不安定な状態であれば、体や筋に負荷が掛かるのは当然です。足首に過度の負荷が掛かれば、アキレス腱の炎症や、足首の関節の炎症などを起こしやすくなります。野球のスパイクには踵の部分がローカット、ミドルカット、ハイカットの3種類があります。足首の動きを制限したい選手、ローカットでは足首に過度の負担が掛かる選手はハイカットを選ぶことが多く、患部の状態が良くなればローカットのスパイクに替えることはよくあります。もちろん中には足首の保護のためにハイカットを選ぶ選手もいます。
サッカーについても少しお話させて下さい。一般的に市販されているものは芝用の物が多く、硬い土の上で使用するのに適しているとは言えません。サッカーの場合、スピードの変化や急なターンが多く、硬い土での長時間のスパイクの使用は特に負担が掛かります。付け加えると広島市内は三角州でできており、火山灰が降り積もった関東などと比べ非常に土が硬い土地として知られています。柔らかい地面をしっかり噛むために作られた芝用のスパイクを硬い土の上で履くことで、それを原因とした中足骨の骨折もよく見られる症例です。
しかし、実際にはアマチュアの選手がグラウンドの状態によってスパイクを履き替えることは経済的な理由もあり難しいでしょう。そこで私がお薦めしているのは、インソール(中敷き)を作っておくことです。市販のスパイクのインソールは多くの人に合うように作られています。しかし、O脚やX脚の人がいれば体重が前掛りの人や土踏まずがない人もいますし、人の足の形は千差万別です。それらの人が全く同じスパイクを履いて、相当量の運動を行なえばケガの温床になるということは想像いただけると思います。自分の足型を取り、インソールを替えるだけでも未然に防ぐことのできるケガもあるはずです。
最後に良いスパイク選びのポイントとしては、まずしっかりと紐を締め試し履きをすることです。その際に指の付け根に当たるMP関節のところできちんとスパイクが曲がるか確認して下さい。その上で指が少し動くこと、踵がずれないことを確かめることも重要です。中高校生は特に、メーカーやデザインで選びがちですが、合わない靴はケガをするだけです。良いパフォーマンスをするためと理解し、正しいスパイク選びをしましょう。
スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司がスポーツ医療、スポーツ障害の症状、治療について分りやすく解説します。