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No.10「日常生活でも起こる椎間板ヘルニア」

 スポーツドクターコラム

2004/05/10

椎間板ヘルニア



人間の背骨は首から腰にかけて24本の骨で構成されています。この骨と骨の間でクッションの役目を果たしているのが椎間板です。 椎間板は卵に例えれば、黄身にあたる核の部分(=髄核)と白身にあたる周りを囲む部分(=繊維輪)があります。繊維輪が年齢と共に弱くなって何かの衝撃で緩んだり裂けたりした場合、髄核が飛び出して神経を圧迫します。これが「椎間板ヘルニア」です。 

椎間板の強さには個人差があり、重労働をしなくてもデスクワークで1日中座っている人に起こる場合もあります。腰に負担のかかる柔道や相撲は椎間板にストレスをかける回数が多くなるので確かに怪我へのリスクは伴いますが、統計的に見ても他の競技と比べて特に多いということはありません。どちらかといえばゴルフのような競技の方が多いと言えます。ゴルフは腰を水平回転し肩は上下運動をします。しかもそれぞれの運動でスピードが違い、さらに時間差もあるため腰と肩の間にある椎間板への負担は大きくなります。そういった体の仕組みに反するひねりを加えた動きが、ヘルニアの原因になるのです。 

予防するためには、腹筋や背筋を鍛えることが必要です。ただし、一般的によく知られる腹筋・背筋の運動では余計に腰を痛めてしまいます。メディシンボールなどを使って必要な箇所のみを鍛えることが大切です。腹筋と背筋のバランスをとることが重要ですから、私達は個々の選手のデータを測定してそれをもとにトレーニングの指導をしています。 またねじりの動作に対応するトレーニングも必要です。トレーニング機器だけではねじりの動作に対応することが難しいため、主に人の手を使って鍛えます。競技によって体の動きも違いますので、それぞれのスポーツに合わせたPNF(=固有受容性神経促通法。リハビリの手法の一つ)でトレーニングするのがいいでしょう。 

症状がひどくなった場合には手術に踏み切るケースもあります。まずは保存療法で悪化してしまった場合。続けて膀胱直腸障害で、膀胱または直腸が麻痺してしまい日常生活に支障をきたした場合。最後に運動麻痺となった場合です。 手術の方法としては主にレーザー治療と顕微鏡によるものがあります。昔は腰の手術は選手生命に関わることだと言われていましたが、今は技術も進歩しており、傷口も小さく早期回復することができます。最近ではカープの小林幹英選手やサンフレッチェの林卓人選手が、早めの手術により早期回復を果たしています。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。


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